SE/ITエンジニアは出世して管理職になると損するだけな理由4選

SE/ITエンジニアは管理職としての昇進を避けるべき理由

SE/ITエンジニアは、特に若いうちから管理職の道を進むと損をしてしまうケースが多々あるため、キャリアは慎重に選択しなければなりません。

というのも、私自身がIT部門の管理職の道に進んで「損をしている」と感じることが多いからです。

以前までは、会社で出世、昇進するためには必然的に「管理職」を目指すしか道がなかったわけですが、現在のIT企業やIT部門では「管理職」を目指す以外に「エキスパート職」としての道を昇進の選択肢として用意している会社も増えています。
今の会社に何があっても骨を埋める覚悟があるなら別ですが、ITエンジニアとしては「エキスパート職」に進んだ方がハッピーなことが多いのも確かです。

なぜ「管理職」が損だと感じているのか、その理由を4つに絞ってお伝えしたいと思います。

ただし、所属会社の人事制度や職務形態、社内規定によって事情は異なると思いますので、あくまで一例としてお付き合いください。

① 技術力が落ち、新しい技術が育まれない

ITエンジニアが管理職に進むと、せっかく現場で身につけたプログラミングなどのスキルはみるみるうちに劣化していき、新しい技術に対する経験も積めません。

IT管理職の主な仕事は要員管理、案件管理、工数管理、進捗管理、予算管理、プロジェクトの工程レビュー、契約、承認行為など、いわゆるマネージメントの業務が中心になります。

そのため、部下の作った設計書やドキュメントを確認してレビューすることはあっても、自分で設計書を作成したりコーディングをしたり、システムを構築したりといった業務は基本やらなくなります。

仕事以外のプライベートの時間を使って自分で勉強してスキルを維持したり、新しい技術に対する知見を得たりすることはできますが、それでもやはり普段の仕事の現場で実践的に技術を磨いているPMや技術者の経験値から見ると到底劣ります。

② 残業代が付かず、法的に守られない

管理監督者になると一般的には残業代が付かず(※深夜割増賃金は付く)、労働基準法の一部の規定が適用されません。

労働基準法で定義している管理監督者は、労働基準法41条に定められた除外条件が適用されて労働時間や休日に関しての縛りがないため、残業代が付かないだけでなく、いくら働いても基本的には許されるのです(社内規定の範囲で)。

管理監督者でなければ労働者は労働基準法第36条(通称36(サブロク)協定)にガッチリ保護されるため、普通にコンプライアンスを遵守している企業だと無茶な働き方は強要できません。

更に最近では働き方改革によって労働基準法が強化されていますので、一般労働者はより一層手厚く守られますが、管理監督者は経営と一体の立場とみなされるため、36協定では保護されないのです。

そのため、一般労働者が無理な働き方ができないぶん、管理監督者がそのしわ寄せを受けて過重労働を強いられる場面も多々有ります。

そのくせ残業代がつかないので、残業代が付く部下に収入面で追い抜かれたりといった逆転現象もたびたび起こります。

③ 転職に不利なことが多い

ITエンジニアとしての価値の源泉は技術です。

上記①でもお伝えしたように、管理職はマネージメントとしての業務がメインとなるので、技術を持つ人を使うことはあっても、自らの技術力は育ちません。

SE/ITエンジニアとしての転職においては、特定の技術に対する経験値が深い人やPM(プロジェクトマネージャ)としての経験を重視する求人は多く有りますが、管理職としての経験だけを求める求人は多く有りませんし、あったとしても狭き門です。

そのため、現場で自ら手を動かして、実践的な技術を身につけている人の方がIT業界の市場では圧倒的な価値があるため、管理職の道を進むのであれば今の会社で定年まで勤め上げるほうが望ましいでしょう。

管理職になるのであれば、プレイングマネージャーとしてマネージメントと同時に自らもPMや開発者の立場でプロジェクトに関わっていかないと市場価値は維持できません。

④ 将来の選択肢を狭める

上記の③と関連する話ですが、ITエンジニアはフリーランスとして活動しやすいという特徴がありますが、管理職は会社に所属していないと価値がありません。フリーランスではマネージメントする部下がいないわけですから当然ですよね。

フリーランスは企業に所属しなくても技術さえあれば個人で仕事が受注でき、しかも高単価であることが多いため、企業に所属するよりも大きな収入を得る事ができます。
また、請負った成果物をネットワーク越しに納品すればいいだけなので、世界中どこにいてもパソコンひとつで自由に仕事ができます。

会社に所属して現場で技術を磨いたあとに、独立して自由な働き方ができる将来の選択肢を管理職は持てないのです。

おわりに

business-suit

いかがだったでしょうか。
若い時分から、なまじ優秀で評価されると、必然的に昇進して知らぬ間に管理職の道を歩んでしまいます。

自分で考えた上で、望んで管理職の道を進むのであればまだいいですが、勝手に祭り上げられて一旦管理職のレールに乗っかると、なかなか元には戻れません。

自分がSE/ITエンジニアとして理想的なキャリアは何なのかを、10年後、20年後を見据えたうえでしっかりと考え、上司との人事面談などで早い段階から自分の意思を明確に示しておかなければ、損をする結果にもなりかねません。

会社に人生を捧げる強い意思がない限りは、「エキスパート職」かプレイングマネージャとしての管理職を志すことをお勧めします。 

逆に管理職に進むことを決めたのであれば、とことんその会社での出世を目指しましょう。

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