年収1,000万円をどう捉えるか
年収1,000万円と聞いて、皆さんはどういうイメージを持つでしょうか。
起業家や外資の投資銀行などハイクラスな会社で働いている方は「少ない」と感じるかもしれませんし、一般的なサラリーマンの方や非正規社員の方は「多い」と感じるかもしれません。
私は現在都内の銀行に勤務しており、年収1,300万円程度の収入を得ることが出来るようになりましたが、新卒で会社に入社してから転職するまでの間は400〜500万円ちょっとくらいの年収だったので、とても自分には手が届かない額だと感じていました。
特に学生時代や新入社員のときには、
と、そのイメージだけをなんとなく目標としていましたが、現実は厳しく、自分の上司を見ているとどの程度で頭打ちなのかがすぐに分かってしまうのです。(当時は上司と飲みに行ってもピッチリ割り勘でした)
当初の会社ではこれ以上は大きく昇給を望めないと考えたため転職に踏み切ったわけですが、実際には転職して年収1,000万円を達成しても、「こんなものかぁ」とたいしてリッチじゃない現実がありました。
ここでは年収1,000万円ってどんなレベルなのかを私の実体験に基づいて紹介したいと思います。
日本人の平均年収
まずは統計的に日本人の平均年収と1,000万円に到達している人の割合を見てみます。
想像していた400〜500万円のボリュームゾーンとだいたい一致しています。
私が当初勤めていた会社も、この一般的なレンジに収まります。
年代 | 全体 | 男性 | 女性 |
20代 | 345万円 | 369万円 | 319万円 |
30代 | 442万円 | 481万円 | 375万円 |
40代 | 507万円 | 567万円 | 401万円 |
50代以上 | 622万円 | 671万円 | 428万円 |
出典:Doda
年収1,000万円の年代別の割合
次に、日本の中で年収が1,000万円に到達している人の割合を年代別に見てみます。全体で5.5%程度、20代、30代では合わせて0.5%程度しか存在しません。
年代 | 割合 |
20代 | 0.1%以下 |
30代 | 0.4% |
40代 | 1.8% |
50代以上 | 3.2% |
年収1,000万円の実態
統計で見ると年収1,000万円というのはかなり割合的には少ない印象ですが、私の生活レベルで見ると、若い頃に夢見ていた生活とはかけ離れ、庶民に毛の生えた程度でしか感じません。
これはなぜかを紐解いていきたいと思います。
私のスペック
まず、私個人のスペックはこんな感じです。
● 職業: 銀行員
● 家族構成: 妻一人子一人
● 車: 1台(国産車)
● エリア: 東京
● 酒・タバコ: やらない
東京在住のありふれた核家族で、ごく一般的な趣味思考を持っていると思います。車は国産車ですが、そこそこ高いSUV(650万くらい)を所有しています。
年収1,000万円の内訳はこんな感じです。
# ボーナス(額面): 200万円
税金が高い
年収1,000万円というのはあくまで額面の話なので、そこから税金(所得税、住民税)やら社会保険料やらが天引きされます。
私の場合で手取りは750万円程度でした。現在の年収である1,300万円の額面で900万円程度しかありません。
日本は収入に応じて税金が高くなる累進課税制度の国なので、1,000万円の収入があるとそのうち25%程度の250万円が税金や社会保険料で搾取され、実際の可処分所得は750万円程度しかないのが実態です。
そのため、月々の手取りは額面70万円に対し、実は50万円程度しかありません。
1,300万円の現在はさらに酷く、400万円もしょっ引かれています。
東京は何をするにも高い
<家賃が高い>
私はもともと地方出身者ですが、東京はとにかく何をするにも高いです。
今住んでいるマンションが賃貸で月々22万円、駐車場が3万円です。
これは特段豪勢なところに住んでいるわけではなく、都内(都心ではありません)でそれなりに綺麗な物件に住もうとしたら、3LDKでこれくらいします。
地方出身者からすると、驚愕の家賃です。
満員電車が何より嫌いなので、会社に近い都内のマンションにしぶしぶ住んでいますが、正直バカバカしいです。
お気づきですか?家賃だけで手取り月収の半分が消えてなくなるのです。
<物価が高い>
さらに東京は物価も高いです。スーパーの肉、魚、野菜などの生鮮食品は地方の1.5倍、2倍の価格で売られていることも多く、毎日の出費がかさみます。
<駐車場が高い>
さらにさらに、東京は駐車場の時間単価が激高です。レジャー施設の駐車場やコインパーキングなど、都心に停めようとすると15分で500円なんてザラです。
1時間で2,000円ですよ?3時間停めれば6,000円です。
地方だったら1時間100円とか200円とか、そんなもんですよ。
といった具合に、東京では行動するたびにチャリンチャリンお金が飛びます。
国の補助、手当てが薄い
高所得者は国から常に冷遇されます。義務として納める税金は過大に要求されるにも関わらず、国からの手当てや補助の権利を真っ当に受けられません。
国が補助や手当の制度を導入する際には、大抵の場合で所得制限が存在します。
年収1,000万円はその所得制限のボーダーに多くの場合で抵触します。
ざっと確認しただけでも以下のように冷遇を受けることになります。
- 児童手当が減額(年収600万世帯の3分の1)
- 子供の医療費助成の減額(年収600万世帯の3分の1)
- 高校無償化制度での自己負担(年11.8万円)
- 不妊治療補助の対象外
この冷遇はかなりの負担感です。特に子供関連の手当を削られることが多いので、子供を産むことが損であるという感覚に落ち入り、一人っ子で満足してしまいます。
所得制限のボーダーから大きく外れる2,000万円を超えるようなクラスは何て事ないでしょうが、1,000万円前後の微妙なクラスは家計に大きく響くことになります。
年収1,000万は決して「裕福」ではない
以上を踏まえた上で、今の我が家の月々の家計はザックリとこんな感じです。
・家賃(駐込):¥250,000
・光熱費、通信費:¥50,000
・食費、雑費:¥60,000
・交遊費:¥20,000
・養育費:¥30,000
・保険:¥10,000
・車ローン:¥50,000
・貯金:¥30,000
———————————————–
計: ¥500,000
どうでしょうか?少なくとも東京で家族が生きていく前提においては、特段裕福な暮らしができるレベルではありません。
あまり家計を切り詰める必要がない(大雑把な管理でも家計が回る)という点では確かに自由度が高いと言えますが、都内のちょっといい所に住んで、ちょっといい車に乗っていたら、それだけで年収1,000万円の旨みは吹き飛ぶレベルです。
決して気軽に外車を乗り回したり、ハイブランドを買い漁ったり、年に何回も海外旅行に行けるレベルではないのです。その域に達するためには年収3,000万円は必要でしょう。
ちなみにボーナスは年に一回の海外旅行と貯金に充てがっています。
月々の出費以外にも車検や自動車税、帰省や祝儀などの一時的な出費もあるので、それらもボーナスから補填しているのが現状です。
逆に言えば、独身者や地方勤務者が年収1,000万円を得ている場合は、家賃や養育費、その他諸々の出費が抑えられるので、それなりに余裕のある生活ができるかもしれませんね。
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